今、工場では小森くんが「ひたちなか中根の家」の手刻み中です。
「手刻み」と「プレカット」のどっちがいいのか悪いのか?
そういう質問とか議論がよくありますが、
写真のような木材の穴あけとか、凸凹とか削られている部分を
機械でやったのが「プレカット」人が行うのが「手刻み」です。
なので、機械がやったものが悪いなんてことはないですよね?
「いい」とか「悪い」ということより
手刻みが「できる」か「できない」かの差はなんなのか?ということが
どういうことなのか・・・をお伝えできればな・・・と思います。
「プレカット」は大きな高価な機械なので、工務店ごとに持っている
ということはありませんから、「プレカット」を使うということは
加工してもらった木材を買うというイメージになります。
「プレカット」に良し悪しはありませんが、機械なので
加工できることに上限があり、複雑なことや、
人ができるけど、機械にはできないということが出てきます。
なので、「プレカット」しか使わない工務店は材木も選んでないし、
単純なカタチの組み合わせばかりになってくるということになります。
これが長く続くと後継の大工さん達は、木材の良し悪しも分からず、
伝統的な技術の要る家はつくれなくなるという流れになってきます。
「手刻みができる」ということは、
設計者の図面をみて、
どこにどんなカタチの材木が使われていて、どういう加工をして
どういうつなぎ方をするのか、大工さんがきちんと理解している
ということです。
なので、足りない材木があれば自分で発注願いをし、段取りを組み
現場で不具合や変更があっても、自分で加工でき、組み直しもできます。
新しい発想で、難しいことを乗り切ってくれたりもします。
上の写真は設計図面を見て、大工さん自身がベニヤに手書きで描き起こしたもの。
いろはにほへと、とか、数字が書かれていて、これに基づいて
各木材の使用場所がわかります。「ちノ三」とか「ほノ八」など・・・
どこの場所か、これはなんの穴とかどういう加工をするのか「墨付け」された木材。
細く繊細な線で加工の寸法も引かれています。
なんだか、耳なし芳一の体に書かれたお経みたいです・・・。
自分で墨付けした線を手がかりにのみや穴あけ機を使って加工していきます。
「手刻みができる」ことと「できない」ということの差は
わたし達素人が、大工さんだからできるだろう・・・と思っていることが
できない大工さんもいるということです。
材木を見ただけで、どこに使うか「わかる」「わからない」とか
ちゃんと「いい材木」を使ってくれてるんだろうな。と思っていても
「プレカット」だと選んでいないこともあったり・・・。
そういう「差」が「プレカット」と「手刻み」にあるのではと思います。
福田建設の大工さん達は大工の親方が「大工たるモノこういうモノ」という
いわば「大工の美学」で育てた大工と、同じ「美学」を共有する大工で構成しています。
なので、大工さん自身が現場を任され、造り付けの家具もつくれ
現場で対応する能力を持っている「技術集団」となっているんだと思います。